「不動産投資で節税できる」というとき、多くの人が「所得税の節税」を想定しています。しかし、実は住民税も同時に節税できます。所得税の節税効果だけを見ていると、節税額を過小評価してしまいます。
本記事では、不動産投資が住民税に与える影響を詳しく解説します。
住民税とは
住民税は都道府県と市区町村に納める地方税で、前年の所得に基づいて計算されます。
住民税の計算式:
住民税 = 所得割 + 均等割
所得割(課税所得に連動する部分):
都道府県民税: 4%
市区町村民税: 6%
合計: 10%(所得割)
均等割(定額):
約5,000〜6,000円/年(自治体によって異なる)
不動産投資による住民税の節税メカニズム
損益通算で課税所得が減る
不動産所得が「赤字(マイナス)」になった場合、給与所得・事業所得と損益通算できます。この合計所得が減ると、住民税の課税所得も減ります。
住民税節税の仕組み:
①通常の状態:
給与所得(課税所得): 600万円
住民税(10%): 60万円
②不動産所得が▲100万円の場合(損益通算後):
給与所得600万円 - 不動産損失100万円 = 500万円
住民税(10%): 50万円
→ 住民税の節税額: 10万円/年
節税額の計算(所得税と住民税の合算)
合計節税額の計算例:
課税所得(合算後)が▲100万円下がる場合:
所得税(税率20%の場合): 20万円/年の節税
住民税(10%): 10万円/年の節税
復興特別所得税(所得税の2.1%): 0.42万円/年の節税
合計: 約30.4万円/年の節税
→ 所得税だけ見ていると20万円だが、
住民税含めると約30万円の節税になる
住民税の特別徴収(サラリーマンの場合)
サラリーマンが不動産投資で損益通算する場合、住民税の処理には注意点があります。
住民税の徴収方法:
①特別徴収(給与から天引き): 会社経由で徴収
②普通徴収(自分で納付): 確定申告後に自分で納付
不動産投資による損益通算の効果:
→ 翌年の住民税が減額される(6月〜翌5月の12回分割)
→ 毎月の天引き額が減少
「給与から引かれる住民税が翌年減る」ことを認識する
不動産投資で損益通算した翌年の住民税が下がります。例えば2026年分の確定申告で損益通算をすれば、2027年6月から2028年5月に控除される住民税が減額されます。節税効果は翌年以降に現れる点に注意してください。
住民税の「普通徴収」選択で副業がバレにくくなる
サラリーマンが確定申告をする際、住民税の徴収方法を「普通徴収(自分で納付)」に選択することで、会社に不動産投資の事実が通知されにくくなります。
「普通徴収」を選ぶ方法:
確定申告書の「住民税・事業税に関する事項」欄で
「自分で納付」を選択する
→ 不動産所得に係る住民税は自分で納付
→ 給与分の住民税は特別徴収(天引き)のまま
→ 会社に送られる特別徴収の通知額に不動産分が含まれない
ただし: 住民税額が大幅に変わると
会計担当者が不審に思う場合もある
住民税節税額シミュレーション(年収別)
| 年収 | 損通算▲100万円の住民税節税 | 損通算▲200万円の住民税節税 |
|---|---|---|
| 400万円 | 10万円/年 | 20万円/年 |
| 600万円 | 10万円/年 | 20万円/年 |
| 800万円 | 10万円/年 | 20万円/年 |
| 1,000万円 | 10万円/年 | 20万円/年 |
住民税(所得割)の税率は一律10%のため、**所得の圧縮額 × 10%**が住民税の節税額になります。
不動産投資で住民税を節税できないケース
ケース①:不動産所得が黒字の場合
不動産所得がプラス(黒字)の場合は、給与所得に加算されるため住民税は増える方向になります。
ケース②:損益通算できない損失
土地取得に充てた借入金の利子や、生活用資産の売却損は損益通算できない場合があります。
ケース③:青色申告の特典(純損失の繰り越し)
青色申告をしている場合、不動産所得の赤字が給与所得より大きくても、最長3年間の繰り越しが可能です(純損失の繰越控除)。翌年以降の住民税節税にも活用できます。
まとめ:住民税と所得税の節税を合わせて計算する
不動産投資の節税効果を正確に把握するには、所得税+住民税の合算税率で計算することが重要です。
| 所得税率(課税所得別) | 住民税(一律) | 合算税率 |
|---|---|---|
| 5%(195万円以下) | 10% | 15% |
| 10%(195〜330万円) | 10% | 20% |
| 20%(330〜695万円) | 10% | 30% |
| 23%(695〜900万円) | 10% | 33% |
| 33%(900〜1,800万円) | 10% | 43% |
| 40%(1,800〜4,000万円) | 10% | 50% |
| 45%(4,000万円超) | 10% | 55% |
住民税まで含めた合算税率で節税シミュレーションを行い、投資判断の参考にしてください。
次の一歩
節税の記事一覧