税金・確定申告

相続対策としての不動産活用|税負担を減らす具体的な方法【2026年】

相続税対策として不動産を活用する方法、評価額の下げ方、小規模宅地等の特例、生前贈与との比較を2026年最新の税制で解説します。

Estate Serenity Nova Editorial Team2026-06-08更新 2026-06-08

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相続税は「あの世に持って行けないお金への課税」とも言われますが、適切な生前対策をすれば大幅に節税できます。不動産は現金と比べて相続税評価額が低くなる性質があり、資産家・地主の方々が相続税対策として活用してきた歴史があります。

本記事では、2026年の税制に基づいた不動産を活用した相続税対策の具体的な方法を解説します。

相続税の基礎知識

相続税の基礎控除

相続税の基礎控除 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

例:相続人が配偶者と子2人(3人)の場合 基礎控除 = 3,000万円 + 600万円×3 = 4,800万円

遺産総額が基礎控除以下なら相続税はかかりません。

相続税の税率

課税価格(一人当たり)税率控除額
1,000万円以下10%
3,000万円以下15%50万円
5,000万円以下20%200万円
1億円以下30%700万円
2億円以下40%1,700万円
3億円以下45%2,700万円
6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円

不動産が相続税対策になる理由

現金と不動産の評価額の違い

資産相続税評価額
現金・預金額面100%
土地(路線価地域)路線価×面積(時価の70〜80%程度)
建物固定資産税評価額(時価の50〜70%程度)
賃貸用建物固定資産税評価額×70%(借家権控除)
賃貸土地(貸家建付地)路線価評価×(1 − 借地権割合×借家権割合×賃貸割合)

:1億円の現金を1億円の賃貸用不動産に変えた場合の評価額

  • 土地(路線価評価):1億円×70%=7,000万円
  • 貸家建付地評価:7,000万円×(1−0.6×0.3)=5,740万円(借地権割合60%、借家権割合30%の場合)
  • 建物:固定資産税評価×70%(借家権控除)≒2,100万円
  • 合計評価額:約7,840万円

現金1億円 → 不動産に変換することで評価額を約2,160万円圧縮できます。

「相続税評価額」≠「時価」

相続税評価額は時価より低く設定されていることが多いです。この差額(含み益)が「生前に現金を不動産に変える」節税効果の源泉です。ただし評価と時価の乖離が大きすぎる場合、課税庁から時価での課税を主張されるリスクがあります(2024年改正で高額物件への規制強化)。

主な節税手法

① アパート・マンション建設(最もオーソドックス)

更地に賃貸住宅を建設することで:

  • 土地の評価減:貸家建付地評価(20〜30%減)
  • 建物の評価減:固定資産税評価額の70%(借家権控除)
  • 借入による評価減:建築費をローンで賄えば、負債として差し引ける

事例:更地5,000万円(相続税評価4,500万円)の土地に、4,000万円(建築費)で8戸アパートを建設した場合

対象評価額の変化
土地(更地評価)4,500万円
土地(貸家建付地)約3,200万円(30%減)
建物(固定資産税評価60%)×借家権70%約1,680万円
建設費ローン(負債)▲4,000万円
合計評価額880万円

更地のままでの評価(4,500万円)と比べ、約3,620万円の評価圧縮が実現します。

② 小規模宅地等の特例(最も有効な節税)

相続した土地について、一定の要件を満たすと評価額を最大80%減額できる特例です。

区分限度面積減額割合
特定居住用宅地(自宅)330㎡80%
特定事業用宅地400㎡80%
貸付事業用宅地(賃貸)200㎡50%

事例:200㎡の賃貸物件(評価額3,000万円)を相続した場合

  • 通常評価:3,000万円
  • 小規模宅地特例(50%減):1,500万円
  • 節税効果:1,500万円の評価減

2017年以降の「3年縛り」

2017年度改正で、相続開始前3年以内に賃貸を始めた物件には特例が適用されなくなりました(被相続人の事業用地は除く)。相続対策は早めに始めることが重要です。

③ 生前贈与との組み合わせ

2024年から贈与税の改正が行われ、生前贈与加算期間が3年から7年に延長されました(2031年まで段階的に移行)。

生前贈与の手段年間非課税枠ポイント
基礎控除(暦年贈与)110万円/年年間110万円以下なら非課税
住宅取得資金贈与500〜1,000万円(条件あり)子・孫の住宅購入に活用
教育資金一括贈与1,500万円孫への教育費非課税
相続時精算課税2,500万円将来の相続税と精算

不動産を生前贈与する場合、不動産取得税・登記費用・贈与税が発生するため、単純に「渡せば節税」ではありません。税理士へのシミュレーションが必須です。

④ 法人化による相続税対策

不動産を所有する法人(資産管理会社)を設立し、法人の株式を生前贈与・相続させることで、不動産を直接相続するより評価額を下げられる場合があります。

特に「非上場株式の評価」は純資産評価方式または類似業種比準方式が用いられ、一般的に不動産の時価より評価が低くなることが多いです。

相続税対策で注意すべき点

注意点① 2024年の通達改正(タワマン節税規制)

2024年1月から、タワーマンションの相続税評価について**時価に近い評価(新評価法)**が適用されるようになりました。高額物件(特に1億円以上のマンション)を利用した節税は以前より効果が薄れています。

注意点② 相続税対策より資産性が優先

「節税のために建てた」アパートが赤字になったり、売れない物件になったりする事例が多発しています。まず資産としての価値があることを確認した上で、節税効果を副次的な効果として考えてください。

注意点③ 相続人が管理できるか

高齢の被相続人が亡くなった後、相続人が賃貸経営を継続できるかという視点が重要です。相続人が管理能力・意欲がない場合、相続後すぐに売却が必要になり、節税効果が薄れる可能性があります。

注意点④ 税理士への相談は必須

相続税対策は個人の資産・家族構成・物件状況によって最適解が大きく異なります。「友人に聞いた方法」「セミナーで聞いた通り」ではなく、相続専門の税理士に個別相談してください。

相続税対策のロードマップ

タイミングアクション
相続10年以上前現状の資産評価・将来の相続税試算
相続5〜10年前アパート建設・生前贈与の開始
相続3〜5年前生前贈与の加速・法人化検討
相続直前贈与の停止(加算期間に注意)・遺言書作成
相続後小規模宅地特例の適用申告

まとめ

手法効果コスト注意点
アパート建設大(評価圧縮)高(建築費)需要確認が必須
小規模宅地特例大(最大80%減)3年縛り・要件確認
生前贈与低〜中7年加算に注意
法人化中〜大中(設立・維持費)複雑な手続き

相続税対策は「早く始めるほど効果が大きい」です。資産規模・相続人の状況・不動産の活用可能性を総合的に判断し、専門家と連携して計画を立てましょう。

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執筆: Estate Serenity Nova Editorial Team編集部プロフィール) / 更新: 2026-06-08 / 編集方針