不動産投資

贈与税と不動産の基礎|投資用物件を渡すときの設計

年間110万円の基礎控除、住宅取得等資金の贈与、不動産評価、投資用マンション贈与の注意点を2026年向けに解説。

Estate Serenity Nova Editorial Team2026-05-31更新 2026-05-31

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不動産を生前贈与する場合、贈与税は暦年課税(年110万円の基礎控除)が基本です。2026年も、投資用マンションをそのまま贈与すると、評価額が高いほど年110万を超え、贈与税申告が必要になります。住宅取得等資金の贈与特例は居住用が前提で、賃貸投資のみを目的に使う設計は想定外です。

基礎控除

年110万円(同一人から同一人へ)

評価

相続税評価額に準ずる

特例

住宅取得資金は居住用前提

投資

相続との総合設計が必須

暦年課税の流れ

ステップ内容
評価土地・建物の贈与税評価額
控除110万円
課税超過分に累進税率

110万円は「現金」だけではない

不動産全体を贈与すると、評価額が数百万〜数千万になり、一気に贈与税がかかります。現金110万のイメージと混同しないでください。

住宅取得等資金の贈与

子ども等への居住用住宅取得資金の贈与には、一定の非課税枠があります(要旨)。投資用ワンルームを贈与して賃貸継続するケースは、居住用特例の対象外と考えるべきです。

  1. 1

    目的の整理

    居住支援か、資産承継か。

  2. 2

    評価額の試算

    税理士・不動産鑑定の活用。

  3. 3

    贈与契約・登記

    登録免許税・取得税の発生。

  4. 4

    贈与税申告

    2/16〜3/15(翌年)。

贈与前チェック

  • 評価額と110万控除の関係
  • 相続時精算課税を選ぶか
  • ローン残債の承継
  • 管理会社・賃貸借の名義変更
  • 譲渡税との比較(売却→現金贈与)

相続との比較

方法特徴投資用マンションでの使いどころ
生前贈与(暦年)早い承継、贈与税評価額が高く110万控除では不足しがち
相続時精算課税贈与時非課税、相続時一括課税60歳以上からの選択、相続税との総合設計
相続基礎控除・相続税評価額ベースで課税、時間はかかる
売却→現金贈与譲渡税+贈与税ローン残債の処理が明確

不動産評価の具体例(区分マンション)

贈与税の課税価格は、相続税評価額に準じます。路線価方式の土地持分+固定資産税評価額方式の建物が基本です。

項目売買価格贈与税評価額(目安)
都心ワンルーム2,000万円1,200〜1,500万円
地方中古1K800万円500〜650万円

売買価格1,500万円の物件を丸ごと贈与すると、評価額1,000万円と仮定した場合、110万円控除後の課税価格は890万円。累進税率で数百万円規模の贈与税が発生し得ます。

現金110万と不動産全体贈与は別物

「毎年110万円ずつ現金を贈与して頭金を援助する」設計と、「物件1室を名義変更する」設計では、税額が桁違いになります。後者は必ず税理士による評価額試算を先に行ってください。

相続時精算課税との使い分け

60歳以上の贈与者が選択できる相続時精算課税は、贈与時に贈与税を納めず、相続時に相続税として精算する制度です。2,500万円の特別控除+基礎控除110万円が使えますが、一度選ぶと暦年課税との併用に制限があります。

制度向くケース投資用物件
暦年課税小額の現金贈与、毎年少しずつ不動産丸ごとは不向き
相続時精算課税高齢者からの大規模承継評価額試算後に選択
相続のみ急がない承継最も一般的

投資用マンション贈与の実務フロー

  1. 1

    ローン残債の確認

    贈与先が承継できるか、返済計画を金融機関と協議。

  2. 2

    贈与契約書の作成

    無償であること、付随債務の有無を明記。

  3. 3

    登記・諸税

    登録免許税(評価額2%)、不動産取得税が別途。

  4. 4

    管理会社・賃貸借

    オーナー名義変更、口座振替の切替。

  5. 5

    贈与税申告

    翌年2/16〜3/15。相続時精算を選ぶ場合は別届出。

売却→現金贈与との税額比較(試算イメージ)

取得800万・評価900万・売却1,000万・保有8年・償却累計200万と仮定:

方法主な税金備考
売却→現金贈与譲渡税+贈与税手取り現金を110万ずつ贈与なら贈与税は抑えられる
不動産直接贈与贈与税+取得税等一括で評価900万が課税対象
相続相続税死亡時に評価900万が遺産に加算

ローン付き物件を贈与する場合、金融機関の承諾なしに名義変更できないことが多く、売却→現金贈与の方が実行しやすいケースもあります。

暦年贈与の税率表(目安)

課税価格(控除後)税率控除額
200万円以下10%
300万円以下15%10万円
400万円以下20%25万円
600万円以下30%65万円
1,000万円以下40%125万円
1,500万円以下45%175万円
3,000万円以下50%250万円
3,000万円超55%400万円

評価1,000万円の物件を贈与すると、110万控除後890万円が課税対象になり、贈与税は数百万円に達し得ます。

分割贈与(持分)の設計

方法メリットデメリット
持分10%ずつ贈与年ごとに110万控除を活用登記・管理が複雑
現金110万+将来相続贈与税を抑えやすい承継が遅れる
家族法人へ移転事業承継の選択肢設立・維持コスト

持分贈与でも、評価額の按分が必要です。1/10持分でも評価100万円なら、110万控除内に収まる場合と、超えて申告が必要な場合があります。

贈与後の管理・税務

贈与先(子ども等)がオーナーになった後も、不動産所得の申告義務は贈与先に移ります。サラリーマンの子が初めて不動産所得を得る場合、青色申告・確定申告のセットアップが必要です。管理会社の契約名義変更、ローンの返済口座、火災保険の被保険者名を贈与と同時に更新しないと、トラブルの原因になります。

3年加算ルール(相続時)

暦年課税で贈与した財産は、贈与から3年以内に被贈与者が死亡した場合、相続税の課税価格に加算されます。110万円ずつ現金贈与を続けていた場合も、3年分が加算対象になります。生前贈与と相続の総合シミュレーションが不可欠です。

贈与税申告の期限と書類

項目内容
申告期限贈与年の翌年2/16〜3/15
必要書類贈与契約書、登記簿、評価明細
納税一括納付が基本

住宅取得等資金の非課税枠(居住用)

子ども等への住宅取得資金贈与には、結婚・子育て世帯向けに最大1,000万円(要旨)の非課税枠があります。投資用賃貸のみを目的にこの枠を使うことは想定されていません。親が「実家の近くに子のマイホーム」を支援するケースと、投資用ワンルームを贈与するケースは、税務上まったく別設計です。

相続税の基礎

贈与と相続の三点比較に使える相続税ガイドです。

贈与税と譲渡税の出口比較

親が保有する投資用物件を子に渡す方法を比較します。

方法主な税金ローン
生前贈与贈与税+取得税等承継が難しい
相続相続税承継・返済要設計
親が売却→現金贈与譲渡税+贈与税ローン完済後

ローン残債がある物件は、親が売却してローンを完済し、手取り現金を110万ずつ贈与する方が、不動産丸ごと贈与より税務・実務ともに現実的なケースがあります。

評価額の取得方法

方法費用精度
路線価図+固定資産税評価
税理士試算
不動産鑑定最高

110万控除で収まるかどうかは、評価額試算前に判断しないでください。持分1%贈与でも、評価額が110万超なら申告が必要です。

実務上の注意(投資家向け)

  • 贈与契約書は公证役場で作成するケースも(要否は税理士判断)
  • 登記しない贈与(口約束のみ)は税務・法務リスク大
  • 贈与後の売却は贈与先が譲渡税を負担
  • 相続人以外への贈与は税率が異なる場合あり

投資用物件の贈与は、税理士+司法書士のチーム対応を推奨します。単独での名義変更は、ローン・管理会社・保険の不整合を招きやすいです。

贈与税申告に必要な書類

書類用途
贈与契約書贈与事実の証明
登記簿謄本不動産の特定
固定資産税評価証明建物評価
路線価図土地評価
贈与税申告書税務署提出

評価明細は税理士が作成するのが一般的です。自分で申告する場合は、国税庁の「贈与税の申告書の書き方」を参照してください。

贈与と相続の使い分け(フローチャート)

急いで承継? → No → 相続を検討
              ↓ Yes
評価額が110万超? → No → 暦年贈与(現金等)
              ↓ Yes
60歳以上? → Yes → 相続時精算課税を検討
              ↓ No
売却→現金贈与 vs 持分贈与を税理士試算

投資用は居住用特例を当てない

住宅取得等資金の贈与非課税枠は、子どものマイホーム取得が前提です。投資用ワンルームを贈与する計画に、この特例を組み込まないでください。

贈与税の申告は、贈与を受けた人(受贈者)が行います。親が物件を子に贈与した場合、子が翌年3月までに申告します。親側の確定申告(不動産所得)とは別手続きであることを、家族間で共有しておいてください。

まとめ

不動産贈与は評価額が鍵。110万円控除は不動産全体では足りないことが多く、投資用は居住用特例を当てず、相続・売却と三点比較してください。

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