不動産売却

相続した不動産の売却手順|税金・名義変更・査定の流れ

相続不動産の売却に必要な手続き、相続登記、相続税、譲渡所得税、一括査定の活用法まで。2026年版の完全ガイドです。

Estate Serenity Nova Editorial Team2026-05-31更新 2026-05-31

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親から相続したマンションや土地を売却したい——そう考えたとき、多くの方が戸惑うのが手続きの複雑さです。相続登記、相続税、固定資産税、そして売却時の譲渡所得税。段階ごとに異なる税金と期限があり、順序を間違えると余計なコストやトラブルにつながります。

本記事では、2026年時点の法制度を踏まえ、相続不動産を売却するまでの手順を時系列で整理します。

相続不動産売却の全体フロー

相続不動産の売却は、以下の5段階で進みます。

  1. 相続の発生と遺産分割(相続人の確定)
  2. 相続登記(名義変更)
  3. 相続税申告・納税(該当者のみ)
  4. 売却査定・仲介選定
  5. 売却・譲渡所得税の申告
段階期限の目安主な費用
相続登記相続開始から3年以内(2024年4月〜義務化)登録免許税、司法書士費用
相続税申告相続開始から10ヶ月以内相続税(基礎控除超過時)
売却登記完了後仲介手数料、譲渡所得税

2024年4月から相続登記が義務化

相続を知った日から3年以内に相続登記を行う義務が生じています。罰則はないものの、売却・相続税申告・固定資産税の名義変更に支障が出るため、早めの登記が推奨されます。

ステップ1:相続人の確定と遺産分割

相続人の範囲

民法の定めに従い、以下の順位で相続人が決まります。

  1. 配偶者(常に相続人)
  2. (代襲相続あり)
  3. 直系尊属(父母・祖父母)
  4. 兄弟姉妹

遺言書の有無

  • 遺言書あり:遺言の内容に従い遺産分割
  • 遺言書なし:法定相続分で協議分割

遺言書がない場合、相続人全員で遺産分割協議書を作成し、不動産の持分を明確にします。複数人で共有状態のまま売却すると、全員の同意が必要になり手続きが複雑化します。

遺産分割協議書に記載すること

  • 相続開始日(被相続人の死亡日)
  • 相続人全員の氏名・続柄
  • 分割する不動産の表示(所在・地番・家屋番号)
  • 各相続人への配分
  • 全員の署名・捺印

ステップ2:相続登記(名義変更)

売却するには、原則として相続人名義への登記が必要です。被相続人名義のままでは売買契約を結べません。

相続登記に必要な書類

  1. 被相続人の戸籍謄本・除籍謄本
  2. 相続人全員の戸籍謄本
  3. 固定資産評価証明書(相続税申告時)
  4. 遺産分割協議書(または遺言書)
  5. 登記原因証明情報(オンライン申請の場合)
  6. 相続人の印鑑証明書

費用の目安

項目目安
登録免許税不動産評価額×0.4%(2024年4月〜2026年3月は軽減措置あり)
司法書士報酬5〜15万円程度(物件・相続人数による)

2024年4月から2026年3月まで、相続登記の登録免許税は**0.4%→0.1%**に軽減されています(2026年4月以降は0.4%に戻る見込み)。早めの登記が費用面でも有利な場合があります。

ステップ3:相続税の確認

相続税がかかるケース

相続税は、法定相続分で計算した遺産総額から基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人数)を引いた残りに税率を乗じて計算します。

遺産総額(基礎控除後)税率控除額
1,000万円以下10%
3,000万円以下15%50万円
5,000万円以下20%200万円
1億円以下30%700万円

不動産は路線価や固定資産税評価額で評価されるため、実勢価格より低く評価されることが多いです。ただし、2026年時点でも東京・大阪の都心部では評価額が高く、相続税が発生するケースも少なくありません。

相続税申告の期限

相続開始(被相続人の死亡)から10ヶ月以内です。申告と同時に納税する必要があり、延滞すると加算税・延滞税が発生します。

相続税と売却の関係

  • 相続税は相続時点の評価額で計算
  • 売却時の譲渡所得税は別途発生
  • 相続税を支払った場合、売却益から相続税相当額を控除できる(相続税額控除)

税理士への相談を推奨

相続税と譲渡所得税の両方が絡む場合、試算が複雑になります。売却前に税理士に相談し、手取り額を試算しておくと安心です。

ステップ4:売却査定と仲介選定

相続登記が完了したら、通常の不動産売却と同様に査定・仲介選定に進みます。

相続売却で注意すること

  1. 共有持分の整理 — 複数相続人が共有している場合、全員の同意が必要
  2. 空き家の管理 — 固定資産税の空き家特例、近隣トラブル
  3. 残置物の処分 — 売却前に撤去が必要な場合が多い
  4. 築古・未改修物件 — 買取も選択肢に

一括査定の活用

相続不動産でも一括査定は有効です。複数社から査定額を取り、仲介と買取の両方の数字を比較しましょう。相続人が遠方にいる場合、オンライン完結型のサービスが便利です。

売却方法相続売却でのメリットデメリット
仲介高値が期待できる期間がかかる、残置物対応が必要
買取早く現金化、残置物込み可相場より低い

ステップ5:売却と譲渡所得税

譲渡所得税の計算

売却益(譲渡所得)= 売却価格 − 取得費 − 譲渡費用

相続した不動産の取得費は、相続税評価額(または相続時の実勢価格)を使います。被相続人が生前に購入した場合、取得費不明の特例(売却価格×5%)も使える場合があります。

税率(2026年)

保有期間所得税率住民税率合計
5年超(長期譲渡)15%5%20%
5年以下(短期譲渡)30%9%39%

相続直後の売却でも、被相続人の保有期間を引き継げるため、長期譲渡の税率が適用されることが多いです。

3,000万円特別控除

居住用財産を売却する場合、譲渡所得から3,000万円を控除できる特例があります。相続した実家を売却するケースで使えることがありますが、条件(被相続人の居住、相続人の居住歴など)を満たす必要があります。

相続不動産売却のタイムライン例

時期作業
相続開始〜1ヶ月相続人確定、遺産分割協議、戸籍収集
1〜3ヶ月相続登記、相続税申告(該当者)
3〜4ヶ月一括査定、仲介選定、残置物処分
4〜7ヶ月売出し・内覧・交渉
7〜9ヶ月売買契約・引渡し・譲渡所得税申告

早く売りたい場合は、相続登記と並行して買取査定を取り、登記完了後すぐに買取契約する方法もあります。

空き家・実家売却のポイント

空き家対策特別措置

空き家のまま放置すると、固定資産税の6倍課税(空き家特例のはずれ)や、特定空き家の指定リスクがあります。売却または活用を早めに検討しましょう。

残置物・清掃

相続物件には、故人の遺品や家具が残っていることが多いです。買取業者は残置物込みで引き取るケースもありますが、仲介売却では原則撤去が必要です。遺品整理業者の利用も選択肢です。

相続売却は「手続き」と「感情」の両面があります。相続人間で方針を早めに共有し、専門家(司法書士・税理士・不動産会社)を適切なタイミングで起用することが、スムーズな売却の鍵です。

よくある質問

Q. 相続登記前に売却できますか?

原則不可です。被相続人名義のままでは売買契約を結べません。ただし、相続人全員の同意があれば、登記前に買取業者と売却契約の準備(査定・条件交渉)を進めることは可能です。

Q. 相続人が複数いる場合、1人だけで売却できますか?

共有持分を売却する場合、他の相続人の同意が必要です。全員で売却するか、持分を整理してから売却するかを協議してください。

Q. 相続税と譲渡所得税、両方かかりますか?

相続税は相続時、譲渡所得税は売却時にそれぞれ課税されます。両方が発生するケースもありますが、相続税額控除などの調整があります。

まとめ

相続不動産の売却は、遺産分割 → 相続登記 → 税務確認 → 査定・売却の順序を守ることが重要です。2024年からの相続登記義務化も踏まえ、早めの手続き開始をおすすめします。

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執筆: Estate Serenity Nova Editorial Team編集部プロフィール) / 更新: 2026-05-31 / 編集方針