不動産売却

マンションを「賃貸に出す」vs「売却する」どちらが得か

所有マンションを売るか貸すか迷っている方向けに、財務計算・税制・リスク・ライフプランの観点から最適な判断基準を解説します。

Estate Serenity Nova Editorial Team2026-06-13更新 2026-06-13

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転勤・住み替え・相続などで所有マンションをどうするか迷ったとき、「賃貸に出す(貸す)」か「売却する(売る)」かの判断は非常に難しいです。

本記事では、財務的なシミュレーション・税制・リスク・ライフプランの4つの観点から、賃貸 vs 売却の最適な選択肢を解説します。

まず整理:どちらが「絶対に得」はない

賃貸と売却のどちらが得かは、物件の状況・エリア・市場環境・個人のライフプランによって異なります。「賃貸が常に得」も「売却が常に得」も正しくありません。

判断要素賃貸有利な場合売却有利な場合
将来の物件価値上がる見込み下がる見込み
家賃相場高い低い
管理の手間許容できる手間をかけたくない
資金ニーズ今すぐ不要今すぐ必要
将来の居住予定戻るかもしれない戻らない
税制損益通算が使える3,000万円控除が使える

ケース1:転勤などで一時的に不在になる場合

賃貸の選択肢

転勤期間中だけ賃貸に出す「一時賃貸」が可能です。

メリット:

  • 転勤期間中も家賃収入を得られる
  • 戻ってきたら自分で使える
  • 住宅ローンの返済が家賃でカバーできる場合がある

デメリット:

  • 転勤期間中は住宅ローン控除が使えなくなる(居住用でなくなるため)
  • 入居者がいると、戻りたい時に退去してもらうのが難しい
  • 一時使用目的を明記した定期借家契約が重要

定期借家契約を使う

「一定期間後に戻りたい」場合は、更新なしで期間を定める「定期借家契約」を使ってください。普通借家契約だと、入居者が退去を拒否した場合に困ります。

売却の選択肢

転勤を機に売却するパターン。

メリット:

  • 管理の手間が完全になくなる
  • 住宅ローンを一括完済できる
  • 転勤先で新たな住まいを確保しやすい
  • 居住用の3,000万円特別控除が使える(条件あり)

デメリット:

  • 戻った際に同じ物件には住めない
  • 売却のタイミング次第で損になる可能性

ケース2:住み替えで以前の家が余る場合

新居を購入・賃貸で引越す場合、旧居をどうするか迷います。

財務シミュレーション

【旧居のスペック】
残住宅ローン: 2,000万円
現在の市場価値: 3,000万円(売却益: 1,000万円)
想定家賃収入: 10万円/月

【賃貸の場合(月次収支)】
家賃収入: 100,000円
管理委託費(家賃の8%): -8,000円
修繕積立金: -15,000円
ローン返済(残20年・金利2%): -101,000円(概算)
固定資産税: -10,000円/月換算
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月次収支: ▲34,000円/月(毎月手出し)

年間収支: ▲408,000円
10年間の累計: ▲4,080,000円(机上計算・空室・修繕除く)

この場合、毎月手出しが発生するため、賃貸は不利です。特に住宅ローン残高が多い場合、家賃収入ではカバーできないケースが多いです。

【売却の場合】
売却価格: 3,000万円
ローン完済: 2,000万円
手元に残る: 約1,000万円(諸費用・税金除く)
3,000万円控除適用で、売却益1,000万円は非課税

この場合、売却の方が明確に手残りが出るため有利です。

「賃貸が有利」になるケース

住宅ローンの残高が少なく、家賃収入でカバーできる場合。

残ローン: 500万円
家賃収入: 10万円/月
ローン返済(残5年): 約86,000円/月
経費: 約25,000円/月
月次収支: 100,000 - 86,000 - 25,000 ≒ ▲11,000円(ほぼトントン)
ローン完済後は月次収支 +75,000円に改善

ローンがあと数年で完済するなら、賃貸で保有を続けて完済後にキャッシュフロー化する戦略も有効です。

ケース3:相続したマンション

相続したマンションは、住宅ローンがないことが多いため、賃貸でキャッシュフローが出やすいです。

賃貸売却
即時収入なし(毎月収入)あり(まとまった現金)
長期収益家賃を毎月受け取りなし
維持管理必要不要
税金毎年の不動産所得税売却時の譲渡所得税
空き家リスク賃貸に出すことでリスク回避売却で完全解消

相続した場合は「取得費が引き継がれる(相続時の取得費)」ため、売却益の計算が特殊です。税理士への相談を推奨します。

3,000万円特別控除の使い方

居住用マンション(マイホーム)を売却する場合、売却益3,000万円まで非課税になる特例があります(居住用財産の3,000万円特別控除)。

売却価格: 5,000万円
取得費: 3,500万円
売却益: 1,500万円

3,000万円特別控除の適用 → 非課税
(売却益1,500万円 < 3,000万円)
→ 譲渡所得税: 0円

この控除は売却した場合のみ適用されます(賃貸に出した場合は適用不可)。

「賃貸に出した後に売ると控除が使えない」場合がある

マイホームを賃貸に出した後に売却する場合、「居住用」でなくなっているため、3,000万円控除の適用が難しくなることがあります。売るなら「居住中または引越し後3年以内」に行うのが有利です。

賃貸に出した場合の注意事項

住宅ローン控除の喪失

居住用ではなくなると、住宅ローン控除(毎年の所得税控除)が使えなくなります。

住宅ローン控除額の目安(残高2,000万円・年1%控除):
年間20万円の所得税控除 → 賃貸に出した瞬間に喪失

住宅ローンの取扱いに注意

住宅ローンは「自己居住用」に使うことを条件に、低金利が適用されています。賃貸に出すと、金融機関から「事業用ローンへの切り替え」を求められることがあります(金利上昇)。

事前に金融機関に相談・了解を得ることが重要です。

判断フローチャート

以下の質問に「YES/NO」で答えてください:

Q1: 将来その家に戻る可能性はありますか?
  YES → 賃貸(定期借家)を検討
  NO  → 売却を検討

Q2: ローン残高が家賃収入より多い(手出しが発生)ですか?
  YES → 売却の方が有利
  NO  → 賃貸でキャッシュフロー化

Q3: 居住中(または転出後3年以内)ですか?
  YES → 3,000万円控除で売却が有利
  NO  → 税制面の優位性が薄れる

Q4: 管理・入居者対応の手間を嫌いますか?
  YES → 売却で手放す
  NO  → 賃貸継続を検討

まとめ:選択のポイント

賃貸売却
向いている状況将来戻る予定あり、ローンが少ない、管理に慣れている今すぐ現金化、手間をかけたくない、3,000万円控除が使える
財務的優位長期保有でキャッシュフロー改善3,000万円控除・まとまった現金
リスク空室・修繕・入居者トラブル売り時を逃す可能性

迷ったら複数社で査定を受けて現在の売却価格を把握し、賃貸の場合の収支シミュレーションと比較してください。

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執筆: Estate Serenity Nova Editorial Team編集部プロフィール) / 更新: 2026-06-13 / 編集方針