不動産投資

譲渡所得税ガイド|投資用マンション売却時の税率

投資用不動産売却の譲渡所得、短期・長期の税率目安、取得費・減価償却の影響を2026年向けに解説。

Estate Serenity Nova Editorial Team2026-05-31更新 2026-05-31

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投資用マンションを売却すると、利益は譲渡所得として課税されます。給与や不動産所得とは別枠で、短期(5年以内)と長期(5年超)で税率が大きく変わるのが2026年も同じです。居住用の「3,000万円の特別控除」は、原則として投資専用物件には使えません。売却タイミングの設計は、税理士による試算が必須です。

短期(5年以内)

総合税率目安 約39.63%

長期(5年超)

総合税率目安 約20.315%

計算

譲渡価額−取得費−譲渡費用

投資

居住用特例は原則対象外

譲渡所得の計算

譲渡所得 = 譲渡価額 −(取得費+譲渡費用)

取得費には、購入価格の土地建物按分、購入時仲介料、登録免許税等。譲渡費用には、売却仲介料、測量費等。

項目内容
譲渡価額売却価格(手付金含む)
取得費購入+諸費用−減価償却累計
譲渡費用売却仲介料等

償却戻し

保有中に減価償却すると、取得費が減り、売却時の譲渡所得が増えやすくなります。節税した分は、出口で税金が戻るイメージを持ってください。

税率目安(2026年)

区分所得税+復興住民税合計目安
短期30.63%9%約39.63%
長期15.315%5%約20.315%

※所得水準・他の所得との合算で変動します。

売却年の申告

  1. 1

    売却・決済

    譲渡価額・費用の領収書を保管。

  2. 2

    取得費の資料

    購入契約、登記、償却累計表。

  3. 3

    翌年3/15まで申告

    譲渡所得の申告書・内訳書。

  4. 4

    納税または還付

    他所得との合算で税額確定。

売却前シミュレーション

  • 保有年数(短期・長期)
  • 償却累計と取得費残高
  • 売却仲介料の見込み
  • 買替え特例の可否(居住用以外は限定的)
  • 手取り=売却価格−ローン残−税−費用

居住用特例が使えない理由

3,000万円控除・買換え特例は自己の居住用が前提です。賃貸のみの投資用区分は対象外が基本。オーナーが一度入居した履歴がある場合も、要件は厳しいです。

複数物件・法人化

複数売却の順序、法人保有への切り替えは別設計です。個人の累進税率と法人税率の比較も、売却年に税理士へ相談してください。

売却試算例1:長期保有(黒字譲渡)

項目金額
売却価格1,800万円
取得価格(土地600+建物900)1,500万円
購入時仲介・登録等50万円
減価償却累計(8年)▲240万円
取得費残高1,310万円
売却仲介料等▲70万円
譲渡所得約420万円
長期税率(目安)約20.315%
譲渡所得税等(目安)約85万円

手取りは「1,800万−ローン残−85万−70万」です。償却で節税してきた分が、出口で戻る構図を数字で確認してください。

売却試算例2:短期保有(4年・赤字譲渡)

項目金額
売却価格1,200万円
取得費残高(償却少)1,450万円
売却費用▲60万円
譲渡所得▲310万円(損失)

短期譲渡でも損失は他の譲渡所得と3年繰越できます(居住用の3,000万控除とは別ルール)。ただし、不動産所得の赤字との損益通算は原則できません。

5年1日の境界

2021年3月1日取得・2026年2月28日売却は短期(5年以内)、2026年3月1日売却なら長期です。税率が約39%と約20%で倍近く変わるため、決済日をカレンダーに入れておく価値があります。

譲渡費用の内訳チェック

費用取得費譲渡費用
購入仲介手数料
売却仲介手数料
所有権移転登録税(買主負担)
抵当権抹消費
測量・解体(更地化)
リフォーム(売却前)資産計上の場合あり要確認

買換え特例と投資用

居住用の買換え特例は、投資用売却には原則使えません。ただし、オーナーが居住していた期間や、事業用資産の買換え特例など、限定的な例外は存在します。投資用のみの売却では「買換えで譲渡税を繰延」は期待せず、手取り試算に譲渡税をフル計上してください。

譲渡所得と不動産所得の関係

所得区分発生タイミング損益通算
不動産所得保有中の家賃給与等と通算可
譲渡所得売却時不動産所得とは別

売却年に不動産所得が赤字でも、譲渡所得とは原則損益通算できません。売却損と譲渡益の順序を複数物件で持つ場合は、どの物件を先に売るかで税額が変わります。

試算例3:手取りまでの流れ

売却1,500万・ローン残800万・譲渡税50万・売却仲介60万・抵当抹消1万の場合:

手取り = 1,500万 − 800万 − 50万 − 60万 − 1万 = 589万円

表面利回りだけでなく、出口の手取りまで試算したうえで保有年数を決めてください。

特定投資家の割控(参考)

一定の再投資等に該当する場合、譲渡所得の特別控除がある制度もありますが、一般の区分マンション投資家が該当することは稀です。詳細は国税庁の「譲渡所得」を参照し、該当しそうな場合のみ税理士へ。

土地建物の按分と取得費

区分マンション売却時、取得費は土地と建物に按分します。建物比率が高いほど、減価償却累計が大きく、譲渡所得が増えやすい構造です。購入時の契約書按分、登記簿、税理士の按分表を売却まで保管してください。

複数物件の売却順序

順序効果
損失物件を先に売却譲渡損失の繰越開始
利益物件を長期保有後税率20%台
同時売却損益相殺(同一区分内)

2室同時売却で1室が損失・1室が利益の場合、譲渡所得は合算されます。税理士と「どちらを先に売るか」をシミュレーションしてください。

申告書類(売却年)

  • 確定申告書B(譲渡所得の欄)
  • 譲渡所得の内訳書
  • 売買契約書・決済書類
  • 取得時の契約書・登記簿謄本
  • 減価償却累計表

売却仲介契約の特約

「買主負担の登記費用」「引渡し日」「固定資産税精算」が譲渡所得の計算に影響します。売却契約書の特約を税理士と共有し、譲渡価額・費用の認識を揃えてから署名してください。

マイナス譲渡と繰越控除

譲渡損失310万円(試算例2)が出た場合、翌年以降3年間、他の譲渡所得(株式・他の不動産売却等)と相殺できます。不動産所得の赤字とは通算できませんが、将来の別物件売却益と相殺する余地があります。

取得費不明の場合

築30年超で購入契約書を紛失した場合、5%×売却価格の取得費推定が使える特例があります。ただし、推定より実際の取得費+償却の方が有利なことも多く、登記簿・旧申告書の探索を先に行ってください。

売却前12か月の準備

時期作業
12か月前保有年数・短期/長期の確認
6か月前売却査定・手取り試算
3か月前税理士へ譲渡税シミュレーション
売却月契約書・精算条項の確認
翌年3月譲渡所得の確定申告

短期・長期の境界日計算

保有期間は**取得日(決済日)から売却日(決済日)**まで。5年を超えるには、取得日の翌日から5年と1日以上経過している必要があります。カレンダーアプリに「取得日」「5年後の長期境界日」を登録しておくと、売却タイミングの判断が楽になります。

譲渡所得の申告書類

  • 確定申告書B(譲渡所得の欄)
  • 譲渡所得の内訳書
  • 売買契約書(取得・売却)
  • 登記簿謄本
  • 減価償却累計表
  • 仲介手数料等の領収書

投資用売却の典型フロー

  1. 管理会社へ売却意向を通知
  2. 不動産会社2社以上に査定依頼
  3. 税理士へ譲渡税・手取り試算
  4. 買主決定・売買契約(5年境界に注意)
  5. 決済・抵当権抹消・引渡し
  6. 翌年3月15日まで譲渡所得を申告

売却価格だけでなく、ローン残・譲渡税・仲介料・抹消費を差し引いた手取りが、次の投資の種銭になります。

居住用3,000万控除との比較(再掲)

項目居住用投資用
3,000万控除要件次第で可原則不可
買換え特例居住用前提原則不可
長期税率約20%約20%
短期税率約40%約40%

税理士試算は売却6か月前

譲渡税は手取りを大きく左右します。売却決定前に、保有年数・償却累計・売却仲介料を入力した試算表を税理士に作成してもらい、5年境界を跨ぐ売却日の調整余地があるか確認してください。

譲渡所得と総合課税

譲渡所得は、給与所得等とは分離課税ではなく、原則総合課税です。ただし、税率は短期・長期の譲渡所得に対する分離税率が適用されます(2026年も同様)。他の所得との合算方法は、申告書の構造上、譲渡所得は別計算後に総合されるイメージです。正確な税額はe-Taxまたは税理士ソフトで確認してください。

減価償却ガイドで償却累計を把握し、売却試算の取得費残高に反映させてください。売却は「入口の取得費」と「保有中の償却」の合計で、譲渡所得が決まります。

5年保有は最優先の節税

短期譲渡(5年以内)と長期(5年超)では税率が約2倍異なります。売却時期を数週間調整できるなら、長期境界を跨ぐ日程を最優先で検討してください。

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まとめ

投資用売却は長期約20%、短期約40%の税率目安。減価償却の償却戻しを織り込み、5年超保有と手取り試算を売却前に必ず行ってください。

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執筆: Estate Serenity Nova Editorial Team編集部プロフィール) / 更新: 2026-05-31 / 編集方針