登録免許税は、不動産登記や法人登記など、登記・登録の申請時に国へ納める国税です。投資用マンションの購入では、所有権移転登記と住宅ローンの抵当権設定登記の2本立てが典型で、不動産取得税と合わせて初期費用の大きな割合を占めます。2026年も、所有権移転は評価額ベース2%、抵当権は借入額×0.4%(住宅ローン減税適用時0.1%)が目安です。
所有権移転
固定資産税評価額×2%が目安
抵当権設定
借入金額×0.4%(特例で0.1%)
納付タイミング
登記申請時(司法書士立替が多い)
投資での位置づけ
取得原価・初期キャッシュに含める
登録免許税とは
登記簿に権利を記録する対価としての税です。売買による所有権移転、贈与、相続、抵当権の設定・抹消など、登記の種類ごとに税率表が定められています。納付は申請書と一緒に収入印紙または電子納付で行い、多くの場合司法書士が代行します。
| 登記の種類 | 課税標準の例 | 税率目安 |
|---|---|---|
| 所有権移転(売買) | 固定資産税評価額 | 2% |
| 抵当権設定 | 債権額(ローン額) | 0.4%(特例0.1%) |
| 抵当権抹消 | 1件あたり定額 | 1,000円/件など |
評価額と売買価格の差
登録免許税の所有権移転は、売買価格ではなく固定資産税評価額が課税標準になるのが一般的です。買付1,500万円でも、評価額合計1,000万円なら所有権税額は約20万円規模になります。
所有権移転登記
区分マンションでは、建物の専有部分と土地の敷地権持分について登記が行われます。それぞれ評価額に2%を乗じた額が税額の目安です。
試算例
| 対象 | 評価額 | 税率 | 登録免許税 |
|---|---|---|---|
| 建物 | 600万円 | 2% | 12万円 |
| 土地持分 | 300万円 | 2% | 6万円 |
| 合計 | — | — | 18万円 |
新築で評価額が高い物件は、取得税と合わせて初期負担が重くなります。
抵当権設定登記
金融機関の住宅ローンでは、担保として抵当権が設定されます。原則**借入金額×0.4%**が登録免許税です。1,500万円借り入れると約6万円。複数金融機関の順位抵当では件数分が加算されます。
住宅借入金等の特例(0.1%)
一定の住宅用借入金で、年末残高要件等を満たす場合、抵当権設定の税率が0.1%になります。投資用賃貸でも、ローン商品や物件の用途表示によっては適用可否が分かれるため、金融機関・司法書士に0.1%適用か0.4%かを事前確認してください。0.1%なら1,500万円で約1.5万円、0.4%なら約6万円と差が大きいです。
| 借入1,500万円 | 税率0.4% | 税率0.1% |
|---|---|---|
| 登録免許税 | 約6万円 | 約1.5万円 |
申請の流れ
- 1
売買契約・ローン融資
特約で司法書士費用・登録税負担者を確認。
- 2
決済・金銭授受
同時に抵当権設定・所有権移転の準備。
- 3
登記申請
司法書士が法務局へ申請、登録免許税を納付。
- 4
登記完了
登記識別情報が発行。保管と確定申告資料へ。
不動産取得税・仲介料との合算
投資用中古の初期費用例(目安):
| 項目 | 金額感 |
|---|---|
| 不動産取得税 | 20〜25万円 |
| 登録免許税(所有権) | 15〜20万円 |
| 登録免許税(抵当権0.4%) | 5〜7万円 |
| 司法書士報酬 | 10〜15万円 |
| 仲介手数料 | 売価×3%+6万等 |
契約前チェック
- ✓固定資産税評価額で登録税を試算したか
- ✓抵当権は0.1%か0.4%か金融機関に確認
- ✓順位抵当・連帯保証の件数
- ✓司法書士費用がパックに含まれるか
- ✓取得税・火災保険と合算した手元資金
売却時の登記
買主側が所有権移転を申請するため、売主が登録免許税を直接負担することは通常ありません。一方、抵当権抹消は売主負担が多く、1,000円/件程度×件数がかかります。複数ローンや順位抵当があると抹消コストが増えます。
節税との関係
登録免許税は所得税の「必要経費」に含められるかは、取得の経緯・税理士の方針によります。多くの投資家は取得原価に資産計上し、減価償却の対象外部分として扱う説明が一般的です。取得税・仲介料とあわせ、税理士に一度整理してもらうと安心です。
よくある誤解
・売買価格の2%で計算した → 実際は評価額ベース。
・ローンに諸費用を入れない前提で頭金だけ用意した → 登録税で数十万円不足。
・投資用なのに住宅ローン0.1%が当然と思った → 商品・用途で0.4%になる。
次の一歩
不動産取得税ガイドへ電子申請・印紙
法務局のオンライン申請が普及し、登録免許税も電子納付が一般的です。収入印紙の貼付が不要になる一方、司法書士報酬にオンライン手数料が上乗せされることもあります。見積書の内訳を確認してください。
順位抵当・連帯債務の件数
複数金融機関から借り入れると、抵当権設定登記が順位1位・2位と増え、登録免許税も件数分かかります。1,000万円×0.4%が2件なら約8万円。ファイナンスの組み合わせを決める前に、司法書士へ「登記件数と税額」の見積もりを依頼してください。
贈与・相続登記との税率差
| 登記原因 | 税率目安 | 投資家の場面 |
|---|---|---|
| 売買 | 2% | 中古取得 |
| 相続 | 0.4% | 親からの承継 |
| 贈与 | 2% | 生前贈与 |
相続登記は税率が低い一方、相続税・贈与税の設計とセットで判断します。投資用を相続で受けた後、すぐに売却する場合も所有権登記は必要です。
取得原価への組み込み(試算)
購入1,500万・仲介50万・登録税18万・取得税22万・火災10万の場合、取得原価の総額は約1,600万円規模。減価償却は建物部分のみが対象で、土地・登録税・取得税は償却されません。税理士と「どこまで取得原価に含めるか」を初年度に統一しておくと、売却時の取得費計算がブレません。
0.1%特例の確認タイミング
融資実行の1〜2週間前に、金融機関へ「投資用ローンでも住宅借入金等の登録免許税軽減(0.1%)が使えるか」を書面で確認してください。決済直前に0.4%と判明すると、手元資金が4〜5万円不足することがあります。
売却時の抵当権抹消(詳細)
| 抹消原因 | 登録免許税 | 負担者 |
|---|---|---|
| ローン完済 | 1,000円/件 | 売主 |
| 売却に伴う代位弁済 | 1,000円/件 | 売主 |
| 順位2位の残存 | 件数分加算 | 売主 |
1,000円は小さく見えますが、順位抵当3件なら3,000円+司法書士報酬が別途かかります。売却前に「登記簿の抵当権の数」を確認してください。
投資用 vs 居住用の登録税比較
| 項目 | 投資用中古 | 居住用新築 |
|---|---|---|
| 所有権移転 | 評価額2% | 同左 |
| 抵当権設定 | 0.4%が多い | 0.1%の余地 |
| 初期負担 | やや高め | 軽減あり得る |
司法書士報酬の相場
| サービス | 目安 |
|---|---|
| 所有権移転+抵当権設定 | 10〜15万円 |
| 抵当権抹消のみ | 1〜2万円 |
| オンライン申請加算 | 5,000〜1万円 |
登録免許税は別途、司法書士が立替して精算します。見積書に「登録免許税」「報酬」「実費」が分かれているか確認してください。
投資用ローンと0.1%特例の確認リスト
決済2週間前
- ✓金融機関へ0.1%適用可否を書面確認
- ✓借入額と登録税額を再計算
- ✓諸費用ローンに含まれるか確認
- ✓順位抵当の件数と税額
- ✓手元資金の不足がないか
新築 vs 中古の登録税差
新築は固定資産税評価額(建物)が高く、所有権移転の登録免許税も増えやすいです。中古は評価額が下がっている分、登録税も抑えられる傾向があります。取得税と合わせ、新築=初期税負担高・中古=税負担やや低のイメージを持ってください。
法人取得の登記
法人名義で取得する場合も、税率は同じです。法人の実質負担は、登録免許税+不動産取得税+法人設立時の登記費用を合算して判断します。個人 vs 法人の比較は、登記税単体ではなく総初期コストで行ってください。
売却時の登記費用(再掲)
売主が負担するのは主に抵当権抹消です。ローン完済と同時に司法書士が申請し、1,000円/件×抵当権の数が登録免許税。完済証明書・登記識別情報を売却前に揃えておくと、決済がスムーズです。
初期費用パックの見積もり例(中古1,500万)
| 項目 | 金額目安 |
|---|---|
| 登録免許税(所有権) | 18万円 |
| 登録免許税(抵当0.4%) | 6万円 |
| 司法書士 | 12万円 |
| 不動産取得税 | 22万円 |
| 合計 | 58万円 |
仲介手数料・火災保険を加えると、80〜100万円規模になります。
登録免許税の納付方法
申請書に収入印紙を貼付する方法と、法務局のオンライン申請で電子納付する方法があります。2026年は電子納付が主流で、司法書士が代行するのが一般的です。納付証明は登記完了後、確定申告・取得原価の資料として保管してください。
決済当日チェック
- ✓登記完了の連絡
- ✓登記識別情報の保管
- ✓登録免許税の領収・明細
- ✓取得税申告の期限確認
- ✓仲介・司法書士費用の最終精算
登録免許税は取得時のキャッシュアウトが大きい税目の一つです。ローン借入可能額に諸費用が含まれない場合、頭金+登録税+取得税を自己資金で用意できるか、融資実行の1か月前に再確認してください。
不動産取得税ガイドと合算し、初期費用80〜100万円規模を前提に手元資金を設計してください。登記と取得税は別タイミングで支払うため、決済月と取得税申告月の両方でキャッシュが必要になる点に注意してください。
0.1%特例は書面確認
投資用ローンでも抵当権登録が0.1%になるケースは限定的です。金融機関からの回答をメール保存し、見積もり時に司法書士と共有してください。
まとめ
登録免許税は所有権2%・抵当権0.4%(特例0.1%)が2026年の目安です。評価額と借入額で試算し、取得税・司法書士費用と合算した初期費用を購入前に確定させてください。