不動産売却

リースバック(セール&リースバック)完全ガイド|売却しても住み続ける仕組みと注意点

自宅を売却して現金化しながら住み続けるリースバックの仕組み、メリット・デメリット、契約の見方、一括査定との比較を2026年版で整理します。

Estate Serenity Nova Editorial Team2026-07-05更新 2026-07-05

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「自宅を売って老後資金やローン完済に充てたい。でも、住み慣れた家からは動きたくない」——そんな悩みに応えるのが**リースバック(セール&リースバック)**です。売却と賃貸借をセットで行い、引っ越しなしで住み続けられます。

一方で、国民生活センター(2025年)も注意喚起しており、売却価格・家賃・契約期間の理解不足がトラブルの原因になり得ます。本記事では仕組みから判断基準まで、表とチェックリストで整理します。

仕組み

売却+賃貸借で居住継続

向く人

急ぎの資金調達・引っ越し回避

注意

売却価格の割引・家賃負担・契約期間

契約

定期借家が多い

比較

仲介売却・一括査定と並べる

リースバックの仕組み(3ステップ)

リースバックは、不動産売買契約賃貸借契約を同時に結ぶ取引です。

  1. 1

    売却(セール)

    自宅の所有権をリースバック事業者へ移転し、売却代金を一括で受け取る。

  2. 2

    賃貸借(リース)

    新しい所有者と賃貸借契約を締結。借主として同じ住宅に住み続ける。

  3. 3

    家賃支払い

    毎月の家賃を支払いながら居住。固定資産税・大規模修繕は原則オーナー(事業者)負担。

通常の売却との違い

項目仲介による売却リースバック
居住引っ越しが必要同じ家に住み続けられる
買主一般の購入者事業者が直接買取
売却スピード数か月かかることも比較的短期で完了しやすい
売却価格市場相場に近い相場の7〜8割程度になることも
今後の負担なし(売却後)毎月の家賃が発生
所有権買主へ移転買主(事業者)へ移転

リースバックは「借金」ではない

受け取るのは売却代金であり、ローンの借入ではありません。返済義務はありませんが、家賃を支払い続ける義務は生じます。受け取った資金から家賃を払い続けると、いずれ資金が底をつく計算になるため、長期の収支試算が必須です。

メリット・デメリット一覧

メリットデメリット
引っ越し不要で生活環境を維持売却価格が仲介売却より低くなる傾向
まとまった資金を比較的短期で確保毎月の家賃負担が長期化
固定資産税・修繕のオーナー負担がなくなるリフォーム・改修の自由度が下がる
資金の使途が原則自由定期借家なら期間満了後の退去リスク
近隣に売却を知られにくい場合も買い戻し条項の条件が厳しいことも

向いている人・向いていない人

向いている人向いていない人
老後資金・医療費を急ぎ確保したい最高値で売却したい
住宅ローン完済資金が必要家賃を長期支払う余力がない
引っ越しが身体的・精神的に負担将来リフォームで資産価値を上げたい
相続前に現金化しつつ居住継続10年以上確実に同じ家に住みたい(更新なし契約)

契約で必ず確認する5項目

リースバック契約前チェックリスト

  • 売却価格の根拠(査定書・近隣成約事例)を書面で受け取った
  • 家賃の設定根拠と周辺相場との比較表を入手した
  • 賃貸借契約が普通借家か定期借家かを確認した
  • 契約期間・更新条件・期間満了後の扱いを条文で読んだ
  • 買い戻し(バイバック)条項の有無・条件・費用を確認した
  • 10年分の家賃総額と受取資金の収支を自分で計算した
  • 複数社から見積もりを取り比較した

① 売却価格

リースバック事業者は再販・賃貸運用を前提に買取るため、仲介売却の相場より低い査定になることがあります。必ず一括査定で相場感を掴んでから比較してください。

② 家賃の水準

家賃は売却価格の利回り(事業者の収益率)を反映して設定されることが多く、周辺の賃料相場より高めになるケースがあります。

確認項目自分でやること
月額家賃SUUMO等で同エリア・同面積の募集賃料と比較
10年総額月額家賃×120か月を計算
受取資金との差受取額−10年家賃総額=実質手残り

③ 賃貸借契約の種類

リースバックでは定期借家契約が使われることが多いです。期間満了で更新がなく、退去が必要になるリスクがあります。詳しくは定期借家と普通借家の比較記事を参照してください。

④ 買い戻し(バイバック)条項

「将来、元の価格で買い戻せる」と案内される場合があります。買戻価格・期限・手数料を契約書で確認し、買取保証のリスク記事も参考にしてください。

⑤ 告知義務・近隣への影響

売却後は所有権が事業者に移ります。大規模修繕や建替えの話が将来出る可能性もゼロではありません。

資金使途別の活用シーン

シーンリースバックの位置づけ代替手段
住宅ローン完済一括返済資金の確保に有効売却して賃貸へ移る
老後資金引っ越しなしで現金化リバースモーゲージ(別制度)
相続対策生前に現金化しつつ居住贈与・売却の税務設計
事業資金担保ローンより早い場合も不動産担保融資

リバースモーゲージとの違い

リバースモーゲージは所有権を維持したまま融資を受ける制度です。リースバックは所有権を手放します。どちらが適するかは、年齢・借入条件・将来の売却計画で異なります。金融機関とリースバック事業者の両方に相談し、比較表を作ることをおすすめします。

進め方(実務フロー)

  1. 1

    相場調査

    一括査定で仲介売却の想定価格を把握。リースバック査定と並べる。

  2. 2

    複数社比較

    最低3社から売却価格・家賃・契約期間の見積もりを取得。

  3. 3

    収支試算

    受取額−(家賃×居住予定年数)−生活費を表にする。

  4. 4

    専門家確認

    税務(譲渡所得税)・契約条項を税理士・弁護士に確認。

  5. 5

    契約

    売買契約と賃貸借契約を同時に締結。両方の条文を読んでから署名。

譲渡所得税のポイント

自宅をリースバックで売却した場合、居住用財産の特例(3,000万円控除・買い替え特例など)が使えるかどうかは、居住期間・売却時期・買主との関係など要件次第です。国税庁のタックスアンサーを参照し、必要なら税理士にシミュレーションを依頼してください。

トラブルを防ぐために

国民生活センターの資料では、次の点が注意喚起されています。

トラブル例予防策
家賃が想定より高い契約前に10年分の総額を計算
期間満了で退去を求められた定期借家か普通借家かを確認
売却価格が相場より大幅に低い一括査定と比較
買い戻しができなかった条項の条件を書面で確認
説明と契約内容が違った契約書の全文を読む

収支シミュレーション例(3パターン)

売却価格3,000万円・月額家賃12万円(年144万円)と仮定した場合の10年間の収支です。個別契約では数値が異なります。

年数累計家賃支払い受取資金の残高(概算)
1年目144万円2,856万円
3年目432万円2,568万円
5年目720万円2,280万円
10年目1,440万円1,560万円
パターン売却価格月家賃10年後の残高イメージ
A:低価格・低家賃2,700万10万1,500万
B:中間3,000万12万1,560万
C:高価格・高家賃3,300万15万1,500万

仲介売却で3,500万円が見込める場合、リースバック3,000万円+10年家賃1,440万円だと、実質1,560万円相当にとどまる計算になります。引っ越しコスト・感情価値をどう評価するかで判断が分かれます。

リースバック事業者のタイプ

タイプ特徴確認ポイント
大手不動産のリースバック部門説明資料が整っている売却価格・家賃の根拠
買取専門業者スピード重視契約条項・定期借家の期間
地域の不動産会社地元事情に詳しい複数社と比較したか
金融系グループ資金調達とのセット提案ローンとの優先順位

複数社見積もりは必須

国民生活センターも、複数事業者からの見積もり比較を推奨しています。1社だけの説明で契約しないことが、トラブル防止の第一歩です。

仲介売却・買取・リースバックの選び方

方法手取りの最大化居住継続スピード
仲介売却×(引っ越し)
買取×
リースバック△〜○

手取りを最優先するなら一括査定後の仲介売却、高く売るコツの活用が先です。居住継続が最優先ならリースバックが候補に入ります。両方の見積もりを同じ表に並べてください。

必要書類・手続きの流れ

  1. 1

    査定・見積もり

    売却価格・家賃・契約期間の書面を取得(3社以上推奨)。

  2. 2

    一括査定と比較

    仲介売却の想定価格を別途取得。

  3. 3

    契約書レビュー

    売買契約・賃貸借契約の両方を読む。弁護士・司法書士の確認も検討。

  4. 4

    決済・登記

    所有権移転登記。登録免許税・司法書士費用が発生。

  5. 5

    賃貸借開始

    家賃支払い開始。口座振替・更新条件を確認。

書類用途
売買契約書売却価格・引渡し日
賃貸借契約書家賃・期間・定期借家の有無
重要事項説明書物件の権利関係
登記事項証明書所有権の確認
固定資産税評価証明税額の参考

リースバック後に投資を始める場合

売却資金の一部を不動産投資の頭金に回す考え方もあります。その場合は、残りの資金で何年分の家賃を賄えるかを先に計算してください。家賃負担が続く中での投資ローン審査は、家計全体の返済比率で見られます。

順番推奨アクション
1リースバック後の月次家計表(家賃込み)
2投資可能額の算出
3投資会社ランキングで2社以上面談
4無理のない返済比率での物件検討

まとめ

リースバックは「売却しても住み続ける」有効な選択肢ですが、売却価格の割引と家賃負担をセットで理解することが前提です。契約前に仲介売却の相場と比較し、10年分の収支を自分で計算したうえで判断してください。

仲介 vs 買取の違い

売却方法の選択肢を整理した比較記事です。

2026年の市場環境と投資判断の前提

金利・供給・賃料は地域で動きが異なります。契約前に次の3点を自分の言葉で説明できるか確認してください。

確認項目データの例判断
賃料相場SUUMO・HOME'S等の募集中央値±10%で設定
空室管理会社・近隣物件3か月超は警戒
修繕長期修繕計画5年以内の工事有無
出口成約事例・買取査定売却想定を1つ書く

一次情報で確認

税制は国税庁のタックスアンサー、地価・取引は国土交通省のデータを参照してください。セミナー資料だけで判断しないことが、2026年の最低ラインです。

金利:長期金利の動きは投資用ローンに直結します。+0.5%の上振れシナリオで返済額を試算してください。

供給:新築マンション・アパートの竣工は、同一エリアの家賃競争を強めます。同駅・同築年の募集件数を数える習慣をつけましょう。

賃料:家賃は「高いほど良い」のではなく、空室期間を含めた実効家賃で比較することが重要です。

比較面談で使える収支チェック表

2社以上から同じ物件条件で記入してもらい、差が出る行を重点的に質問します。

A社B社自分メモ
物件価格
頭金
金利(種別)固定/変動
月々返済
家賃(満室)根拠URL
管理費・積立
固定資産税
月次CF(標準)
月次CF(空室1か月)
月次CF(金利+0.5%)
  1. 1

    前提を固定

    価格・頭金・金利・家賃を揃える。

  2. 2

    差分を質問

    CFが良い方の「修繕・空室の前提」を開示してもらう。

  3. 3

    保留

    24時間以上、家族・税理士と共有してから決める。

用語集(本記事で出てくる言葉)

用語意味
表面利回り年家賃÷物件価格(満室前提)
実質利回り経費・空室控除後
キャッシュフロー手元に残る現金
修繕積立金マンションの将来修繕用積立
譲渡所得税売却時の税金

シナリオ別ワークショップ(数字例)

シナリオ危険信号
標準(満室・現行金利)CFがギリギリ黒字
空室+1〜2か月/年予備資金が枯渇
金利+0.5〜1%返済だけで家計が苦しい
大規模修繕積立不足・一時金

例:表面利回り7%でも手元マイナス — 年家賃140万円でも、返済・管理費・積立・税で150万円出ていれば、節税で帳簿上は赤字でも家計からの補填が必要です。

よくある質問(詳細)

Q. 初めてでもフルローンは可能? A. 属性・物件・金融機関によります。予備資金は運転資金ガイドを参照。

Q. 節税目的だけで買ってもよい? A. 減価償却は現金を増やしません。手元CFがマイナスなら家計リスクが大きいです。

Q. 1社の提案で契約してよい? A. 最低2社で同条件の収支表を比較し、自分の表で再計算してください。

Q. 売却はいつ考える? A. 購入時に5〜10年後の出口を仮置き。出口戦略参照。

実務メモ:入居後の月次ルーティン

月次・年次ルーティン

  • 家賃入金を確認した
  • 募集家賃を1件以上チェックした
  • 修繕・クレームの有無を記録した
  • 年次:税・保険・申告をカレンダー化した
  • 売却検討トリガーをメモした

入居後は毎月同じ日に、家賃入金・管理報告・近隣募集家賃・修繕連絡・ローン返済を5分で確認するルーティンを推奨します。年1回は固定資産税・保険・確定申告をカレンダー登録してください。

次のステップ

契約前の最終チェック

  • 月次CFがマイナスになる期間を把握した
  • 空室・金利・修繕のストレス試算をした
  • 重要事項説明書の修繕積立を確認した
  • 24時間以上、契約を保留できた

比較の入口は不動産投資の始め方投資会社ランキングです。

不動産を高く売るコツ

仲介売却で価格を最大化するポイントを解説しています。

次に読むべきページ

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執筆: Estate Serenity Nova Editorial Team編集部プロフィール) / 更新: 2026-07-05 / 編集方針