マンション投資の資料で最初に目にするのが「利回り◯%」です。同じ数字でも、表面利回りなのか実質的な手取りベースなのかで意味がまったく違います。表面だけで比較すると、契約後に「思ったより残らない」というギャップが起きやすいです。
本記事では、2026年時点で押さえるべき利回りの種類、計算、比較のコツを整理します。
表面利回り(グロス利回り)
最もよく使われる指標です。
表面利回り(%)= 年間家賃収入 ÷ 物件価格 × 100
例:月額家賃9万円、物件価格1,800万円
年間家賃 108万円 → 108 ÷ 1,800 × 100 = 6.0%
表面利回りの限界
- 管理費・修繕積立を含まない
- ローン返済を含まない
- 空室・税金・修繕を含まない
営業資料の「想定家賃」が楽観的だと、表面利回り自体が膨らみます。
最初の習慣
表面利回りは「物件同士のざっくり比較」に使い、最終判断は必ず実質(キャッシュ)ベースで行う、と決めておくとミスが減ります。
実質利回り(ネット・キャッシュ重視)
厳密な定義は文脈によりますが、投資判断では次のような手元キャッシュのイメージが重要です。
年間家賃(空室控除後)
− 運営経費(管理費・修繕積立・税・保険等)
− ローン返済(元金+利息)
= 年間キャッシュフロー(目安)
これを自己資金(頭金+諸費用)で割ると、**キャッシュオンキャッシュ(CoC)**に近い考え方になります。
| 指標 | 主な用途 |
|---|---|
| 表面利回り | 物件のざっくり比較 |
| ネット利回り | 経費込みの収益性 |
| CoC | 自己資金に対する回収 |
計算に入れるべき費用一覧
| 費用 | 備考 |
|---|---|
| 管理費 | 毎月固定 |
| 修繕積立金 | 値上げ予定を確認 |
| 固定資産税・都市計画税 | 年額 |
| 火災保険 | 更新タイミング |
| 管理委託料 | サブリース等の場合 |
| ローン返済 | 元金+利息 |
| 空室損 | 1〜2ヶ月/年が目安 |
| 修繕・原状回復 | 不定期 |
次の一歩
ローン返済のシミュレーション計算例(シンプル)
前提:物件2,000万円、月家賃9万、空室1ヶ月、管理費+積立2万/月、固定資産税等年20万、ローン返済月10万(元利均等)
| 項目 | 金額(年) |
|---|---|
| 家賃 | 99万(108−9) |
| 管理費等 | 24万 |
| 税金等 | 20万 |
| ローン返済 | 120万 |
| キャッシュ | −65万(赤字) |
この例では表面利回りは約5.4%でも、手元は赤字です。節税(減価償却・損益通算)で税は軽くなっても、毎月の口座からは返済が出ていきます。
損益通算
帳簿上の赤字とキャッシュ赤字の違いを理解するのに役立ちます。
築年数・エリアによる違い
- 都心:表面は低くても資産価格の安定を期待
- 地方・郊外:表面は高くても空室・売却に時間
- 築古中古:修繕・設備で実質が急に悪化しうる
東京エリア別ガイド
エリアごとの利回りの傾向を整理しています。
利回りと融資の関係
銀行は物件の賃料から返済可能額を逆算します。表面利回りが高くても、築年数・立地で融資額が減ることがあります。逆に、表面は低くても属性が良ければ融資が通るケースもあります。
審査との両輪
利回りは「収益の見た目」、融資は「返済の安全性」。両方を満たす物件か、面談とプレ審査で確認してください。
複数物件を比較するときの表
| 物件 | 価格 | 家賃 | 表面% | 月返済 | 月CF目安 | 築年 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| A | ||||||
| B |
同じ表面6%でも、管理費・積立・金利で月次キャッシュは大きく変わります。
クラウドファンディングとの違い
不動産クラウドファンディングは、別商品として利回り表示の仕組みが異なります。区分マンション投資と混同せず、商品ごとにリスクと流動性を見てください。
クラウドファンディングカテゴリ
少額投資の比較軸をまとめています。
よくある誤解
- 表面が高い=儲かる → 経費・返済で実質はマイナスになりうる
- 節税できれば問題ない → キャッシュと税務は別
- 家賃はずっと上がる → 下落・空室のシナリオも必要
- 利回りだけで物件決め → 修繕・管理・出口が同等に重要
利回りは判断の入口であり、出口ではありません。10年間のキャッシュフロー表を自分で作る習慣が、比較の質を大きく上げます。
2026年の金利環境
変動金利借入では、金利+1%で月返済がいくら増えるかを、利回り表に必ず追記してください。固定金利でも、期間後の見直し時期をカレンダーに入れておくとよいです。
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